トップページ>>アジア探訪記トップ>>タイ探訪記
何を思ったか、タイに始めていったのは2年前の事。今でも思い出すのは街に溢れ帰る独特の匂いと、あの熱気。日本-台北と乗り継ぎ、約8時間。ドン・ムアン空港へ着くなり、板東英二風のタイ人の男が「スミマセ〜ン!」と声をかけて来たのを思い出す。空港からバスで約40分。原色の看板を眺めながら、フォアランポーン駅近くにあるバンコク・センターホテルに向かった。
フォアランポーン駅のすぐ近くには中華街と呼ばれる華僑中心の街があり、むねやけするような油のにおいと、ココナッツやらナンプラーやらの入り交じった独特の匂いが街中に溢れ帰っている。夜になると露店が道路にあふれ、テレビのリモコンだけ、ドライバーや鉄くずだけのジャンク店もあり、本当に売れているのかな?と心配になってしまった。なかでも多かったのが、昔畑でよく見かけた「泥面子」のような仏像をかたどったもの。2cm位だろうか、これをみな、神妙な面持ちで、虫眼鏡を片手に熱心に見ている。話によると、精度が良い程ご利益があるらしい。さすが、仏教国だと感心してしまった。
熱気ムンムンの中、ホテルにたどりつく。火曜サスペンス劇場に出てくるような訳あり風な雰囲気はあるが安心のホテルではあった。宿泊費は一日900円程なので、問題ないでしょう(その後。ホテルでタクシーを手配しようとしたところ、男がニヤニヤしながら「これど〜だ?」といった具合に女性のリストのようなものを差し出してきた。もちろん、丁重にお断り)。
テレビをつけて見た。日本のように10チャンネルほどあり、タイ版MTVあり、ニュースもありだ。ニュースでは仏教国らしく、始めに必ずキャスターが手をあわせ拝んで登場する(!)。またタイのオリジナル・バラエティー番組は「夜もヒッパレ」と「吉本新喜劇」を足して「学芸会」で割ったような感じで、キャストともども、なんともイケていなかった...。あと、夜にも関わらずお色気系番組もないのもタイならでは。
2日目、ホテルを出てチャオプラヤー川方面に向かう。ふとコンビニにたちよると、日本と違ってお茶系が全くない。ジュース系だらけでスポーツドリンクにしろとにかく甘い。やはり砂糖が入っていないと損だ、という考え方があるようだ..。それでも小さいブルドックソースのような容器に入った、緑色をしたグアバジュース(?)はけっこうお薦め。しかし、ホテルを出た途端、タクシー以外でも、いろんなやつが話しかけてくる。「寺院を一緒に見に行かないか?」とか、「ニホンジン、ナカタ、ユーメイダネ!」とかいって勝手に連れ込もうとするやつ...。もちろん、いいやつかもしれないが、ここは無視。
寺院「ワット・ポー」には黄金のリクライニングブッダが、「ワット・プラケオ」は日本の鎌倉のような感じで、仏像他、いろいろな建築物が見られる。寺院の中に学校がある事に気付いて、ビックリした。勉強している子供を撮ろうとしたら、カメラ慣れしてるのか(?)親切にもおどけたポーズもとってくれたのだった。
ワット・プラケオから歩くこと約30分、チャオプラヤー川は、ことに広く、見事なカフェオレ色。岸辺にはたくさんの渡し舟が並んでいる....しかし、何にも下調べしなかったせいで、変なオバサンにつれられて、怪し気な舟に乗せられてしまった!!学生のフリして割り引きしてもらったが、なにしろ値段がホテル一泊と同等の900バーツ(日本円にして2500円以上)。舟を操縦する奴はどうみてもマフィア....。回りを見回すと、同じ型の舟に乗っているのは米国人ばかり。そう、これは外人旅行客目当てのボッタクリ舟だったのだ。
ボートで殺されたケースもある、なんて話も聞いていたので、楽しいどころではなかったが、そこから見える景色は未知なるもので、川で上半身裸で洗濯をしてる人や、岸辺沿いの家、朽ち果てた船...。と、そこにボートでそろそろと水上マーケットの売り物屋が近付いてきた。めくばせしている所から、どうやら運転手とグルと判明、仕方なくわけのわからん象の置き物を買うはめに。乗船から正味30分くらいだったか、死のボートツアーから逃れたあと食べたグリーンカレーの旨さったらなかった...。
それからバックパッカー達の集うカオサン通りを下見することに。歩く人は日本人も多少はいたが、ほとんど米国人ばかりで、その街並も外人達用にカスタマイズされていた。バドワイザーのネオンが点灯するカフェやクラブ等が立ち並び、裏では麻薬が取り引きされている...ような雰囲気があった。横を歩いていた外国人のカップルが、何を思ったか突然喧嘩をはじめたのには驚いた。
その後、ムエタイの本格的な試合が見られるという「ラチャダムヌーン・スタジアム」へ向かった。まだ開始そうそうで、人もまばらであった。値段の高いリングサイドには日本人観光客がたむろしていた。こちらの席は安い席だったので、鉄格子に囲われ、となりではタイ人のオヤジがピーナッツをバリバリと食いちらかしていた。 シタール風の音楽が流れ、淡々と試合が進んでいったが、3.4試合と時間がたつにつれ、徐々に人数が増え、会場もヒートアップしてきた。自分のお気に入りの選手の攻撃が決まると、みなそろって「イー!!」と声を出していた。観客はほぼ男性で、中にはエキサイトして鉄格子に張り付いて声をあげるオッサンも。ムエタイでの賭けは禁止されているらしいが、ここでは公然と行われていた。
ムエタイは5ラウンド制で、どうやら4ラウンド目が正念場らしく、普通5ラウンド目に期待するところを、双方ともドローを狙う形でステップを刻むだけで終わっていたのが何とも味気ないところではあった。なんだかムエタイそのものよりも回りの雰囲気の盛り上がりの方が迫力があったような...。